【2026年最新】生前贈与とは?年間110万円・7年ルール・贈与税の仕組みを税理士が解説

2026年08月18日

この記事でわかること

  • 生前贈与と年間110万円の仕組みがわかります
  • 7年ルールがいつ影響するか理解できます
  • 暦年課税と精算課税の違いがわかります

生前贈与は、相続税対策として有効になる場合がありますが、「年間110万円なら何をしても非課税」「2026年から7年分すべて相続財産に戻る」という理解は正確ではありません。

2026年は暦年課税の7年ルールが段階的に影響する途中の時期です。相続時精算課税にも年間110万円の基礎控除があるため、家族構成や財産額、贈与を続けられる期間を踏まえて選ぶことが大切です。

生前贈与とは、生きているうちに財産を渡すことをいう

生前贈与とは、財産を持っている人が生きている間に、子や孫、配偶者などへ財産を贈与することです。現金だけでなく、預貯金、株式、不動産なども贈与できます。

相続との大きな違いは、財産を渡す時期や相手を生前に決められることです。将来の相続財産を減らす効果が期待できる一方、贈与税や相続税のルールを確認せずに進めると、想定していた節税効果が得られないことがあります。

生前贈与の基本的な進め方

  1. 贈与する人と受け取る人で内容を決める
  2. 贈与する財産と金額を明確にする
  3. 贈与契約書などで記録を残す
  4. 銀行振込などで財産を実際に移す
  5. 必要な場合は贈与税を申告・納付する

生前贈与は暦年課税なら年間110万円まで基礎控除がある

暦年課税では、その年の1月1日から12月31日までに受け取った贈与財産の合計額から、年間110万円を基礎控除として差し引けます。

年間の贈与額が110万円以下であれば、原則として贈与税はかからず、贈与税申告も不要です。

ただし、110万円は「贈与した人1人につき」ではありません。贈与を受けた人1人について年間110万円です。

例えば、父から80万円、祖父から80万円を同じ年に受け取った場合、合計160万円となります。暦年課税では160万円から110万円を差し引いた50万円が課税価格となります。

年間110万円以内でも、将来の相続税計算に加算される場合があります。

贈与税がかからないことと、相続税にも影響しないことは別の問題として考えましょう。

生前贈与の7年ルールは暦年課税の贈与を相続財産へ加算する制度である

暦年課税による生前贈与については、贈与した人が亡くなったとき、一定期間内の贈与財産を相続税の計算上、相続財産へ加算するルールがあります。

2024年1月1日以後の贈与から、この加算対象期間が従来の3年から最大7年へ延長されました。

ただし、原則として対象になるのは、亡くなった方から相続や遺贈などによって財産を取得した人が、その亡くなった方から加算対象期間内に受けた暦年課税の贈与です。

年間110万円以下の贈与でも、加算対象期間内であれば相続税へ加算される場合があります。

生前贈与の7年ルールは2027年以降に段階的に広がる

7年ルールは、2024年から突然7年間へ切り替わったわけではありません。相続が発生する時期によって、次のように経過措置があります。

相続開始日 暦年贈与の加算対象期間
2026年12月31日まで 相続開始前3年以内
2027年1月1日~2030年12月31日 2024年1月1日から相続開始日まで
2031年1月1日以後 原則として相続開始前7年以内

つまり、2026年中に相続が発生した場合は、原則としてまだ相続開始前3年以内が対象です。「2026年はすでに7年分すべて加算される」と誤解しないよう注意しましょう。

死亡前3年より前の延長部分には総額100万円まで加算しない仕組みがある

7年ルールによって新たに対象となる、相続開始前3年より前の期間の贈与については、その贈与財産の価額の合計額から総額100万円までを相続税の課税価格へ加算しない仕組みがあります。

100万円は「1年につき100万円」ではありません。

延長された期間全体について総額100万円です。また、相続開始前3年以内の贈与に対する控除ではありません。

実際にこの控除が関係するのは、経過措置によって加算対象期間が3年を超える相続です。贈与日と相続開始日を一覧にして確認すると判断しやすくなります。

暦年課税と相続時精算課税は贈与時と相続時の扱いが異なる

贈与税には、大きく「暦年課税」と「相続時精算課税」の2つの課税方法があります。

比較 暦年課税 相続時精算課税
年間基礎控除 110万円 110万円
贈与税率 10%~55%の累進税率 基礎控除・特別控除後は原則20%
特別控除 なし 累計2,500万円まで
相続時 一定期間内の贈与を加算 基礎控除後の対象財産を原則加算
一度選択した後 通常どおり継続できる 同じ贈与者について暦年課税へ戻せない

相続時精算課税は、原則として60歳以上の父母・祖父母などから18歳以上の推定相続人である子や孫などへの贈与で選択できます。住宅取得等資金については年齢要件に特例があります。

相続時精算課税でも2024年から年間110万円の基礎控除を利用できる

相続時精算課税には、2024年1月1日以後の贈与から年間110万円の基礎控除が設けられました。

この年間110万円の基礎控除部分は、原則として贈与税がかからず、将来その贈与者が亡くなったときにも相続税の課税価格へ加算されません。

年間110万円を超える部分については、累計2,500万円までの特別控除を利用できる場合があります。ただし、この特別控除を利用した部分などは将来の相続時に精算する仕組みです。

相続時精算課税を初めて選択するときは、原則として「相続時精算課税選択届出書」の提出が必要です。一度選ぶと、その贈与者について暦年課税へ戻すことはできません。

生前贈与にかかる贈与税は基礎控除後の金額と税率で計算する

暦年課税の贈与税は、1年間に受け取った財産の合計額から110万円を差し引き、その残額に税率をかけて計算します。

税率には「一般税率」と「特例税率」があり、18歳以上の子や孫などが父母・祖父母などの直系尊属から贈与を受けた場合は、一定の条件で特例税率を使用します。

基礎控除後の課税価格 一般税率 特例税率
200万円以下 10% 10%
400万円以下 20%※300万円以下は15% 15%
600万円以下 30%※400万円以下は20% 20%
1,000万円以下 40% 30%
一定額を超える部分 最大55% 最大55%

500万円を父から成人した子へ贈与する例

特例税率が使えるケースでは、500万円-110万円=390万円が基礎控除後の課税価格です。

390万円×15%-10万円=48万5,000円

実際には贈与者と受贈者の関係・年齢によって税率が異なるため、速算表を確認して計算します。申告が必要な場合は、原則として贈与を受けた年の翌年2月1日から3月15日までに申告・納付します。

生前贈与では住宅や配偶者などの非課税制度・特例も確認する

年間110万円の基礎控除以外にも、一定の条件を満たせば利用できる非課税制度や特例があります。

制度 主な内容
住宅取得等資金の非課税 2026年12月31日までの一定の贈与について、省エネ等住宅は最大1,000万円、それ以外は最大500万円
贈与税の配偶者控除 婚姻期間20年以上などの要件を満たす居住用不動産等の贈与で、基礎控除とは別に最大2,000万円
生活費・教育費 扶養義務者から通常必要な生活費・教育費を必要な都度受け取る場合は、一定範囲で贈与税がかからない

教育資金の一括贈与の非課税制度は、2026年3月31日で新規適用が終了しています。

また、各特例には年齢、所得、住宅性能、申告などの条件があります。「限度額までなら誰でも非課税」と考えず、適用条件を確認してください。

生前贈与では名義預金や将来分をまとめて約束する贈与に注意する

生前贈与で多い失敗の一つが、子や孫名義の口座へ資金を移しただけで「贈与が完了した」と考えてしまうケースです。

例えば、親が子名義の預金口座を作り、通帳や印鑑を親自身が管理し、子がその存在を知らない場合には、本当に子へ贈与された財産なのかが問題になることがあります。

毎年110万円以下なら定期贈与の心配はない?

「10年間、毎年100万円を贈る」と最初からまとめて約束している場合、その約束の内容によっては、毎年独立した贈与ではなく、定期金に関する権利の贈与として扱われることがあります。

  • 贈与の都度、双方で意思を確認する
  • 受贈者本人が財産を管理できる状態にする
  • 贈与契約書や振込記録を残す
  • 形式だけでなく実態も贈与に合わせる

生前贈与では贈与契約書を作り記録を残しておくと安心できる

現金や預金の生前贈与で、毎回必ず贈与契約書を作らなければ贈与が成立しないわけではありません。しかし、いつ・誰から誰へ・何を・いくら贈与したかを後から説明できるよう、契約書を作っておくことは有効です。

贈与契約書に入れておきたい項目

  • 贈与者と受贈者の氏名
  • 贈与する財産と金額
  • 贈与を行う日
  • 双方が贈与に合意したこと
  • 双方の署名など

現金で手渡すより、贈与者の口座から受贈者本人の口座へ振り込むなど、資金移動を客観的に確認できる形にすると整理しやすくなります。

生前贈与が向いている人と慎重に検討したい人を分けて考える

生前贈与を検討しやすい人 慎重に検討したい人
相続財産が基礎控除を大きく超えそう 相続税がそもそも発生しない可能性が高い
早い時期から計画的に贈与できる 高齢になってから急いで贈与を始める
贈与後も十分な生活資金を確保できる 老後・医療・介護資金に不安がある
子や孫へ早めに資金移転したい 相続人間の公平性で問題が生じそう

生前贈与には、将来の相続財産を減らせる可能性や、必要な時期に子・孫へ資金を渡せるメリットがあります。一方、一度渡した財産を自由に取り戻せないことや、贈与税・各種費用が生じる可能性はデメリットです。

生前贈与と相続のどちらが得かは財産額と家族構成で変わる

生前贈与をすれば必ず相続より税金が安くなるわけではありません。

比較するときは、相続税の基礎控除、相続税率、贈与税率、7年ルール、相続時精算課税、小規模宅地等の特例、配偶者の税額軽減などをまとめて考える必要があります。

相続税対策では「贈与税をゼロにすること」ではなく、家族全体の税負担と資金移転を考えることが重要です。

あえて110万円を超えて贈与税を負担しながら生前贈与を進めた方がよいケースもあれば、何も贈与せず相続時の特例を利用した方が有利になるケースもあります。

目黒区・自由が丘で生前贈与を考えるなら相続税まで含めて試算する

目黒区や自由が丘周辺で生前贈与を検討する場合、自宅や賃貸不動産などを含めると財産額が大きくなることがあります。預貯金だけを見て贈与額を決めるのではなく、現在の不動産評価額や将来の相続人まで整理しておくことが大切です。

特に、目黒周辺に不動産があり、「毎年110万円の贈与を続けるべきか」「相続時精算課税へ変更した方がよいか」で迷う場合は、一次相続・二次相続まで含めた試算が判断材料になります。

自由が丘周辺で生前贈与や相続税対策を始める際は、過去の贈与履歴、預貯金、不動産、生命保険などを一覧にしたうえで、現在の制度に沿った方法を検討しましょう。

生前贈与に関するよくある質問

Q1. 生前贈与は年間110万円までなら何年続けても大丈夫ですか?

毎年独立した贈与として行われていれば、年間110万円以下の暦年贈与には原則として贈与税はかかりません。

ただし、最初から長期間の贈与をまとめて約束している場合は定期金に関する権利の贈与として扱われることがあります。また、7年ルールによって相続税へ加算される場合もあります。

Q2. 2026年に亡くなった場合、生前贈与は7年前まで加算されますか?

いいえ。2026年12月31日までに相続が開始した場合、暦年課税の加算対象期間は原則として相続開始前3年以内です。

2027年以後に段階的に期間が延び、2031年以後の相続から原則7年以内となります。

Q3. 生前贈与の110万円は父と母からそれぞれ使えますか?

暦年課税では、それぞれ110万円ではありません。

贈与を受ける人1人について、1年間に受けた暦年課税の贈与財産全体で110万円が基礎控除となります。

Q4. 相続時精算課税の110万円は相続時に戻されますか?

2024年1月1日以後の贈与について、年間110万円の基礎控除部分は原則として相続税の課税価格へ加算されません。

110万円を超える部分の扱いは別になるため、2,500万円の特別控除と混同しないよう注意しましょう。

Q5. 生前贈与は早く始めた方が有利ですか?

長期間にわたり計画的に贈与できる点では、早く検討するメリットがあります。

ただし、老後資金を減らし過ぎたり、相続時の方が有利な特例を使えなくなったりすることもあるため、財産全体を確認して判断することが重要です。

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