準確定申告とは?期限は4か月|必要なケース・書類・医療費控除の扱いを税理士が解説
2026年09月14日
家族が亡くなったあと、相続税より先に期限が来るのが準確定申告です。「年金暮らしだった親にも必要なの?」「医療費は控除できる?」といったご質問をよくいただきます。この記事では、準確定申告が必要なケースと手続きの流れ、相続税との関係をわかりやすく解説します。
この記事の結論
- 準確定申告の期限は、相続の開始があったことを知った日の翌日から4か月以内
- 事業・不動産収入があった方、年金が400万円を超えていた方などは申告が必要
- 申告義務がなくても、医療費控除などで還付を受けられることがある
- 納めた所得税は相続税の債務控除の対象、還付金は相続財産になる
準確定申告とは?
準確定申告とは、亡くなった方のその年の1月1日から亡くなった日までの所得について、相続人が代わりに行う所得税の確定申告です。期限は相続の開始を知った日の翌日から4か月以内です。
通常の確定申告は翌年2月16日〜3月15日に行いますが、準確定申告は期限が4か月と短いため注意が必要です。提出先は、亡くなった方の死亡当時の納税地(通常は住所地)を管轄する税務署です。
1月1日〜3月15日に亡くなった場合
前年分の確定申告をしないまま亡くなった場合は、前年分と亡くなった年の分の両方について準確定申告が必要です。どちらも期限は4か月以内です。
準確定申告が必要なケース・不要なケース
| 亡くなった方の状況 | 準確定申告 |
|---|---|
| 個人事業を営んでいた | 原則必要 |
| アパート・駐車場など不動産収入があった | 原則必要 |
| 給与収入が2,000万円を超えていた | 必要 |
| 給与以外の所得が20万円を超えていた(会社員) | 必要 |
| 公的年金の収入が400万円を超えていた | 必要 |
| 公的年金の収入が400万円以下で、他の所得が20万円以下 | 原則不要(還付を受けたい場合は申告できる) |
| 会社員で年末調整前に亡くなった | 勤務先の対応を確認。医療費控除等がある場合は申告で還付の可能性 |
このほか、株式の売却益や土地の売却があった場合も申告が必要になることがあります。
医療費控除など各種控除の扱い
医療費控除
準確定申告で控除できるのは、亡くなった日までに本人が支払った医療費です。入院中に亡くなり、死亡後に相続人が支払った入院費は、準確定申告の医療費控除には含められません。その代わり、死亡後に支払った医療費は、相続税の計算で「債務」として遺産から差し引けます。
社会保険料・生命保険料控除
いずれも亡くなった日までに支払った金額が対象です。
配偶者控除・扶養控除
配偶者や扶養親族に当たるかどうかは、亡くなった日の現況で判定します。
必要書類と手続きの流れ
- 申告が必要かを確認:源泉徴収票(年金・給与)、事業の帳簿、不動産収入の資料を集めます
- 書類を準備:
- 所得税の準確定申告書(第一表・第二表など)
- 死亡した者の所得税及び復興特別所得税の確定申告書付表(相続人が複数の場合)
- 公的年金・給与の源泉徴収票、医療費の領収書(明細書)、社会保険料の支払証明など
- 申告する相続人の本人確認書類
- 相続人全員で連名で提出:原則として付表に相続人全員が記載して提出します。別々に提出することもできますが、その場合は他の相続人に内容を通知します
- 納付または還付:納める税金は各相続人が相続分に応じて負担します
準確定申告と相続税の関係
| 準確定申告の結果 | 相続税での扱い |
|---|---|
| 所得税を納めた | 納めた税額は「債務」として遺産から差し引ける |
| 所得税が還付された | 還付金は相続財産に含めて申告する |
また、住民税はその年の1月1日に住所がある人に課税されるため、亡くなった年の所得に対する翌年度の住民税はかかりません。一方、亡くなる前年の所得に対する住民税で未納分があれば相続人が納め、相続税の計算では債務として差し引けます。
個人事業主・大家さんだった場合の注意点
青色申告の承認は引き継がれない
亡くなった方が青色申告をしていても、その承認は相続人に引き継がれません。事業やアパート経営を引き継ぐ相続人が青色申告をしたい場合は、自分で「青色申告承認申請書」を提出する必要があります。提出期限は、相続開始の時期によって異なり、原則として相続開始日から4か月以内などとされています。
消費税の準確定申告
亡くなった方が消費税の課税事業者だった場合は、消費税の準確定申告も必要です。期限は所得税と同じく4か月以内です。事業を引き継ぐ相続人は「個人事業の開業届出書」や「相続・合併・分割等があったことにより課税事業者となる場合の付表」などの提出が必要になることもあります。
アパートの家賃は誰の所得?
亡くなった日までの家賃は被相続人の所得として準確定申告に含め、亡くなった日の翌日以降の家賃は、遺産分割が確定するまでは相続人が法定相続分に応じて申告するのが原則です。
準確定申告を自分で行うときのチェックリスト
- 源泉徴収票は、年金(日本年金機構・共済)と給与の両方を確認したか
- 医療費は死亡日までに支払った分だけを集計したか
- 相続人全員の氏名・続柄・相続分を付表に記載したか
- 還付金の受取口座を、代表相続人の口座などに指定したか(相続人ごとの口座も指定可)
- 相続税の申告で、納めた所得税を債務に、還付金を財産に計上したか
まとめ
準確定申告は、相続手続きの中でも期限が短く見落とされやすい手続きです。年金暮らしの方でも、医療費が多かった年は還付を受けられることがあります。相続税の申告とあわせて税理士に依頼すれば、債務控除や還付金の計上漏れも防げます。期限のある手続きの全体像は期限のある手続き、会社員・公務員だった方の手続きは被相続人が公務員・会社員だった方へをご覧ください。
参考:国税庁 タックスアンサー No.2022「納税者が死亡したときの確定申告(準確定申告)」
よくある質問
Q. 準確定申告の期限はいつですか?
A. 相続の開始があったことを知った日の翌日から4か月以内です。
Q. 年金だけで生活していた親でも準確定申告は必要ですか?
A. 公的年金の収入が400万円以下で、それ以外の所得が20万円以下であれば原則不要です。ただし医療費控除などで還付を受けられる場合は、申告すると税金が戻ってきます。
Q. 死亡後に支払った入院費は医療費控除できますか?
A. 準確定申告の医療費控除には含められません。死亡後に相続人が支払った医療費は、相続税の計算で債務として遺産から差し引けます。
Q. 準確定申告の還付金は誰のものになりますか?
A. 還付金は相続財産となり、相続人が遺産分割で取得します。相続税の申告では財産に含めて計算します。
※本記事は2026年9月30日時点の法令・公表資料に基づいて作成しています。個別の判断は税理士にご相談ください。
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