相続人と財産の確定
ご相続が発生した時に、私はどの財産を相続できるのか?その財産の評価ががいくらになるのか?相続税は発生するのか?をまづ初めに考える方が多いですが、それ以前に誰が相続財産を受け取る権利があるのかを確定する必要があります。つまり、相続人の確定です。
「わかっているから調べなくても大丈夫。」と思っていると、思わぬ事態に陥ってしまう場合があります。
予期しなかった相続人があらわれることも少なくありません。
ある程度、早い段階で確認できれば良いのですが、遺産分割協議がほぼ纏まった後だと再度、分割協議から行わなければならず大変な労力が必要となります。
事実、戦中に一度、結婚をして、離婚後に出征をし、日本にもっどってきた時に、生き別れになってしまいそのまま、次の結婚をして生涯を閉じた方がいました。このケースでは、戦中に結婚しておりその方に子供がいたことも知らされず、また、後の妻にも戦中に結婚していたことすら知らされずに相続を迎えてしまったため、誰も、先妻の子供のことを知らずに、相続が進んで、最終段階で戸籍により明らかになった事例などがあります。
誰が相続人であるか?つまり相続人の確定をしっかりと行うことは非常に重要です。
遺言や死因贈与契約がなく、法定相続で相続する場合は、しっかりと相続人を把握しないと、全く知らなかった人が相続人として出てきて相続財産を取得する可能性があります。
相続人の確定と共にどのような財産が相続遺産の対象になるのかをしっかりと把握しましょう。
相続人の確定と財産の確定は相続における両輪です。
相続人調査と法定相続
相続において重要な相続人調査方法について説明いたします。
相続人を確定するためには、亡くなった方の「戸籍謄本」「除籍謄本」「改製原戸籍」等を出生から死亡まですべて取得する必要があります。
相続人調査・戸籍調査を行って初めて相続人が確定され、怠ると、相続手続きが滞るばかりでなく、後々思いもよらない相続人が発覚し遺産分割協議のやり直しやトラブルに発展することもあります。
相続における、相続人調査はとても重要です。 「相続人がおおよそ把握している」というような場合であっても、必ず戸籍を収集して相続人が誰であるかを客観的な資料をもって証明する必要があります。
法定相続とは
相続の方法の法定相続についてご説明します。
法定相続とは、被相続人が遺言を残さずに亡くなった場合、民法により定められた法定相続人へ法定相続分が相続されることをあらわします。
遺言等がなかった場合は、どんなに特別な事情があったとしても、原則、すべてこの法定相続によることになります。
法定相続人
法定相続人とは、被相続人が亡くなったときに、相続する権利がある人をいいます。この権利は、民法で定められていて、以下の人が法定相続人になります。
1.配偶者(夫からみれば妻、妻からみれば夫)
ただし、婚姻関係のない内縁の妻や、いわゆる愛人には相続権がありません。
2.子供(=実子)、養子、内縁の妻や愛人の子供、胎児、あるいは孫、ひ孫
これらの人を直系卑属(ひぞく)といいます。民法では、子供、養子が何人いても、全て法定相続人となります。 しかし養子については、相続税法上では被相続人に子供がいる場合、法定相続人としては1人だけが認められ、子供がいない場合は、2人までが認められます。これは、法定相続人を増やし相続税を節税する行き過ぎた節税の防止からこのようになりました。 簡単にいうと、相続税法上では養子については、1人あるいは2人までしか税金の控除等がないということです。
3.父と母、あるいは、祖父母
直系卑属が誰もいないときに、相続人になることができます。
父と母がいないときは、祖父母が相続人になり、これらの人を直系尊属といいます。
4.兄弟姉妹、あるいはその子供
被相続人の直系卑属や直系尊属が、誰もいないときにはじめて相続人となることができます。
以上が法定相続人となることができる人です。
法定相続分
「法定相続分」とは、法定相続によって相続人に相続されるべき相続財産の取得割合をいいます。
法定相続分を知ることは、誰にいくらが相続されるのかを知るひとつの目安となります。
遺言書は、亡くなった方の自由意志を反映させるものですが、後々もめないようにするには、作成時にまず参考にされるべきものが法定相続分なのです。
法定相続人の順位別割合
1.子と配偶者 子=二分の一 配偶者=二分の一
2.配偶者と直系尊属 配偶者=三分の二 直系尊属=三分の一
3.配偶者と兄弟姉妹 配偶者=四分の三 兄弟姉妹=四分の一
相続財産とは
相続財産とは、被相続人が相続開始時点で持っていた財産をいいます。
この財産には、現預金や不動産、株式などのプラスの財産のみならず、借金(債務)などのマイナスの財産も含まれることになります。
また、被相続人が相続開始時点で持っていた財産でも相続財産に含まれないものもあります。
相続財産については、原則として、「すべて相続するか」「すべて放棄するか」を選択する必要があります。
つまり、相続が発生して2ヶ月以内の早い時期、どんなに遅くとも3ヶ月以内には相続財産額がプラスなのかマイナスなのかくらいは確認できる調査が必要となります。
「財産は把握できているから」と思っていても、予期せぬ相続財産がでてきて後々もめるというケースがありますので注意が必要です。
遺産に該当しないもの
・財産分与請求権
・生活保護受給権
・身元保証債務
・扶養請求権
・受取人指定のある生命保険金
・墓地、霊廟、仏壇・仏具、神具など祭祀に関するもの
などがあります。
遺産の評価方法
民法上の評価方法は具体的に定められておらず、一般的には、時価で換算することになります。
また、相続税法上の財産の評価では、評価方法が定められており相続税法上の評価額が時価とは違ったり、民法と税法上では、相続財産の範囲とその評価方法の取り扱いが異なります。
相続財産評価には民法・税法の専門的な判断が必要となります。
みなし相続財産とは
相続税課税の対象となる「みなし相続財産」についてご説明します。
「みなし相続財産」とは、民法上の相続財産ではありませんが相続税法上、実質的に「相続した」とみなされるものをいいます。代表的なものに「生命保険金」や「退職金」などがあります。
相続税法上は、みなし相続財産には相続税が課税されます。
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