これらの対策の矢はすべてが同じ方向を向くとは限りません。
1つの矢と他の2つの矢がぶつかり合うことがほとんどです。
どの対策の矢に重点を置いて対策を講じるか?
智恵が必要です。
対策の矢を実行する際には、様々な智恵が必要ですので必ずご相談下さい。
これらの対策の矢はすべてが同じ方向を向くとは限りません。
1つの矢と他の2つの矢がぶつかり合うことがほとんどです。
どの対策の矢に重点を置いて対策を講じるか?
智恵が必要です。
対策の矢を実行する際には、様々な智恵が必要ですので必ずご相談下さい。
「生前贈与」
1.暦年贈与
対策に時間はかかりますが相続税を確実に減らすことができるやさしい方法です。
贈与税の基礎控除額110万円のを利用して、毎年法定相続人に贈与していく方法です。
現金を贈与する場合や、土地などの不動産や株式などを贈与することも可能です。
土地や株式をタイミングを見計らって贈与する方が節税上有利になるケースがありますので、ご相談ください。
なお、毎年同じ相手に同じ金額の贈与を繰り返すと、最初に決められた金額を毎年分割して行っているとみなされ(連年贈与)、多額の贈与税が発生する可能性があるので注意が必要です。
連年贈与とみなされないために、下記の点を注意して進める必要が御座います。
●贈与契約書を作成する。
●必ず銀行口座を通して行う。
●贈与税の申告書を贈与を受けた年の翌年2月1日から3月15日までに提出する。
●贈与金額を毎年変える。
●贈与時期を毎年変える。
2.相続時精算課税制度
耳慣れない言葉です。贈与税の特例として、暦年贈与と区分されます。
特例を選択した場合には、贈与財産の2,500万円までは贈与税が非課税となり、2,500万円を超える部分には一律20%の贈与税がかかります。
贈与財産は、贈与者の相続発生時に相続財産に贈与時の評価で加算され、発生した贈与税額は相続の際、相続税から控除することになります。
この制度を利用するには、下記の要件を満たしていることが必要となります。
要件
贈与者は65歳以上の親、受贈者は20歳以上の子である推定相続人であること。
相続時精算課税制度を選択する受贈者は贈与を受けた年の翌年2月1日から3月15日までの間に「相続時精算課税制度を選択する旨の届出書」を「贈与税の申告書」と共に提出すること。
この制度を利用する場合、下記のメリット・デメリットがあるため、制度の利用には十分な注意が必要です。
メリット
●将来相続税がかからない方は、早期に財産移転をすることができる。 将来相続税がかからないと予想される方は、子供に多額の生前贈与をしても、贈与時・相続時ともに税負担は御座いません。このような方は相続を待たずとも無税で親から子へ財産移転を早い段階で行うことが出来ます。
●収益物件の贈与により、相続財産の増加を防ぐ。 アパートなどの収益物件を贈与することにより、贈与後はその果実(賃貸収入)は子供のものとなるため、相続財産の増加を防ぐことができます。
●生前の財産分割、事業承継が出来る。 遺産分割が相続人間でトラブルになるケースがあります。 相続時精算課税制度を活用すれば、事前に遺産の一部を特定の子供に贈与する事が可能です。 また、生前に遺産を移転することにより「遺留分の放棄」をさせたり、「遺言の執行」をスムーズに行うことが出来ます。 自社株を相続時精算課税制度により生前贈与することで、円滑な事業承継対策を行うことが出来ます。
デメリット
●暦年課税制度には戻れない。 相続時精算課税制度を選択すると、1.の暦年課税制度に戻ることは出来ません。
●相続税の軽減には直接有効ではない。 贈与者の相続発生が発生した時に、贈与財産は相続財産に加算されます。 しかし、将来価値が上昇する財産の贈与をする事により回避はできます。
●小規模宅地等の特例の適用を受けることが出来ない。 相続時精算課税制度を利用して贈与する財産については、小規模宅地等の特例の適用を受けることができません。自宅やアパートなどの土地を贈与する場合には十分な検討が必要となります。
●相続税の改正による場合 近い将来、相続税の大幅な改正があります。大幅な改正があった場合、将来相続税がかからないと見込んで相続時精算課税制度を適用したのに、実際は相続税がかかってしまうという可能性もあります。
3.贈与税の配偶者控除
贈与税の特例に、配偶者(夫)から居住用不動産、又は、居住用不動産を購入資金の贈与について、1.の暦年贈与と合わせて最高2,110万円まで非課税となる制度があります。
この特例の適用を受けるためには、以下の要件を満たし、かつ、必要書類を添えて税務署長に贈与税の申告書を提出することが必要になります。
要件
●婚姻期間が20年以上の配偶者からの贈与であること。
●贈与を受ける財産が自分が住むための居住用不動産又はこれを購入するための資金であること。
●贈与を受けた年の翌年3月15日までに、贈与により取得した居住用不動産又は金銭で取得した居住用不動産に、受贈者が現実に住んでおり、その後も引き続き住む見込みであること。
●同一の配偶者からの贈与で過去にこの特例の適用を受けたことが無いこと。
この特例を適用することによって、生前に相続財産を配偶者に移転することが出来きます。
つまり、相続税の圧縮につながります。
しかし、登録免許税、不動産取得税などの移転費用が生じますので、充分に検討する必要があります。
全体を通して、相続税の税額軽減を検討する必要があります。
「不動産を活用」
1.自宅を利用した対策
相続等によって取得した財産のうち、被相続人の居住用や事業用に使われていた宅地等がある場合には、一定の要件を満たすことにより、それらの評価額の80%を減額することができます。これを小規模宅地の特例といいます。
小規模宅地の特例は、様々な角度からの検討が必要となりますので、ご相談ください。
2.賃貸マンションの建築
賃貸マンションを建築した場合、建物及び土地の相続税評価額を下げることが出来ます。
たとえば1億円で賃貸マンションを建築した場合、建物の相続税評価額はおおよそ下記の通りとなります。
1億円×60%(注1)1×(1-0.3(注2))=4200万円(68%減)
注1.新築マンションの相続税評価額は、建築費の約6割程度
注2.賃貸の場合は自己利用家屋の評価額の7割
土地の相続税評価額も貸家建付地の評価となり自用地の場合に比べおおよそ2割下がります。
ただし、賃貸マンションの建築は、資金繰りの問題や空き室リスクなどがあるので、デメリット面も考慮して詳細なシミュレーションが必要になります。
「生命保険の活用」
1.生命保険の非課税枠を使った対策
被相続人が受け取る生命保険金は、500万円×法定相続人の人数までの金額について非課税とされています。預貯金で相続を受ける場合と生命保険で相続を受ける場合とでは、非課税額×相続税率分の相続税の税額減少になります。